謎の小話発掘
「あー、やっぱり砂漠は日差しが強いねぇ。外に出ても車ん中にいても気温がまったく変わらないとくらア」
「当たりめーだァ。このポンコツパト車はただ今絶賛エンスト中でエアコンは愚かエンジンすらかからねえってんだ」
「で、とっつあん?さっきから必死にエンジンと格闘しているけど守備はいかほど?」
「馬鹿、こっちは専業警官だ、車のエンジンのことなんか分かるわけないだろうが!」
「わわっ、駄目よただでさえバテバテのエンジンをスパナでぶん殴っちゃ!え、ちょっと、このネジどこから落ちたのしかも2つも!」
「うるせえ!日本のテレビはこうやって直すのが流儀なんだよ!」
「それっていつの時代よ」
「知るか!…おいルパン、そろそろ無線でもGPSでも、とにかく何でもいいから次元たちに救援を求めるとかしろ。なんかあるだろ隠し持ってるやつがよ!俺ァこんな砂漠のど真ん中でお前と日干しになって心中なんざ死んでもごめんだからな!」
「あるわけないでショ!アンタ、俺の服全部ひん剥いて隠し武器から、針金から、カワイコチャンの名前、住所、バストサイズチョメチョメの具合等々を明記したマル秘手帳までぜーんぶ没収したじゃない。おおいやだいやだ俺のプライバシー大侵害。セクハラで訴えてやるーって感じだっての」
「なーにがセクハラだ馬鹿モンが。お前のマル秘手帳のほうがよっぽどわいせつ罪だ。…しかしまいったな、携帯は当然通じないし、通信機みてぇな物を用意している時間もなかったからなあ。丸腰同様だ」
「まったく、とっつあんの無謀さには度肝を抜かれるよ。こんな偏狭の、しかもナチス真っ青な恐怖政治を軍が平然と行っているような国にわざわざ日本からパトカーまで持ち込んでまで俺を追い回してサ。国際問題どころの話じゃねえっての」
「うるせえ。そもそもお前がこんなろくでもねぇ国でろくでもねぇ盗みを働くからこんなことになっただろうが。ちったあ盗む場所を考えろ!この国じゃあお前、発見次第射殺指令が出てるんだぞ。逮捕しにきた俺までもが追われる羽目になったんだ、畜生、腹減った!」
「だからエンジンぶん殴るなっての。こういう時にはさ、もーキャンプに来たとでも考えて面白おかしくすごした方が心安らかじゃない?」
「目の前は見渡す限りの砂漠。道もなければ当然通る人も車もトカゲ一匹すらいねぇ、しかも食料も水もたいして持っていないのに外気は絶望的に暑いと来た。こんな状況で面白おかしくすごせるほど、俺はお気楽じゃねーぞ」
「ま、なんとかなるっしょ。はー空が高いねえ、見ろよとっつあん、でっけぇ鳥が飛んでるぜ。あいつで巨大フライドチキンとか作ってみてーなぁ。何人前取れると思う?」
「俺はお前のそのお気楽すぎる頭ん中かち割って中身を醤油で煮込んでみたいぜ。…戯言はいいから、ちったぁお前も考えるとかしろ!」
「へいへーい分かりましたよ警部殿。まーったくお堅いんだから…あっ」
「どうした」
「そうだよそうそう、ねえとっつあん、ちょーっとアレ、借りますよっと」
「なんだ、アレって…あっ!コラ!お前何するつもりだ!」
「いいからいいから」
「そりゃあ、お前がこの国の大統領宅からかっぱらったお宝じゃねえか」
「このお宝ちゃんはね、実はとーってもおしゃべりな子なんですよー」
「おしゃべりってお前、これは楽器じゃねえか」
「そう。トランペットとサックス。楽器の音はものスゲェ遠くまで聞こえるからね。ここから思いっきりぶっ放してやれば誰か気付くかなーなんて。はい、とっつあんはこっちのペットね。俺サックス。渋いんだぜーこのサックスの音色はさあ」
「しかしよぉ、なんでまたこんなけったいなモン盗んだりしたんだ。つくづくお前の考えることはわけワカンネエな」
「ちえーっ長い付き合いだってのにつれないよなぁ。この楽器はな、1900年代初頭に最高の職人によって作られた世界に唯一存在するものすごいレアなものなんだよね。なんつーか、バイオリンのストラディヴァリみたいな感じ、な」
「お前に楽器の趣味があったとは驚きだな」
「んふふふ今時楽器くらい吹けなきゃ女にもてないでショ。ところでとっつあん、トランペットの吹き方分かる?」
「ああ?こんなん、ただ力いっぱい息吹き込めば鳴るんじゃねぇのか…イチ、ニの」
「ギャッ!!うわすげえ音!耳、耳に来たァ!もう、せっかくのレア楽器なんだからもっと色気あるように吹けないものかねえ」
「馬鹿いえ、ここはコンサート会場じゃねえ!今俺たちに必要なのは救援だ!あの地の果てまでこの音を届かせてやらなきゃなんだろうが!」
「そりゃあそうだけどさあ、いい感じに太陽も傾いて雰囲気ムンムンな情景なんだし、ここで優雅に世界最高楽器の音色を嗜むっていうのも、なかなかオツだと思わないかい?例えばこんな感じで、サ」
「なーにを寝ぼけたこと…ん、この曲は」
「キャノンボール・アダレイの代表作、「Cannonball's Bossa Nova」。あれ、とっつあんもしかしてジャズには明るいのかい」
「昔、ジャズ喫茶がはやった頃に友人に誘われてちょっと…な。あの独特な空間に若ぇ頃はよく通ったものだ」
「へえ、意外意外。しっかし若いころとはいえとっつあんがジャズとはねェ…ブッ…あっはっはっ!似合わないのにも程があるっての!」
「うるっせえ!この!」
「ギャッ!!だからその衝撃波みたいな音を耳元でやるなっての!鼓膜が蝶チョみたいに吹っ飛んでッちまう」
「自業自得だ、馬鹿者」
「あーあ、人がいい気分で吹いていたのに台無しだぜ」
「…で、次は?」
「へ?」
「次の曲だよ。他にも吹けるんだろ。何でもいいから、景気のいい奴をやれ」
「どうしたの急に。そりゃあ吹けっていうなら吹くけどさあ」
「何か疲れた。一日くらいの立ち往生でも死にはせんだろう。この不愉快な状況を少しでも緩和するために有効な手段だと思ったからだ。吹け」
「あーらら。…ま、いいか。俺様ソロステージにとっつあんが観客なんて状況、滅多にないもんね。さあさあお客様、リクエストがありましたらお申し付けくださーい。情緒豊かな音色を、このすばらしい景色と共にお楽しみくださーい。なーんちゃって」
「そうだな。昔三軒茶屋のバーでよく流れていたデューク・エリントンあたりの曲なんか、俺の好みだったな」
「OK。では彼の名曲の中から、『A列車で行こう』を」
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なんかネタ帳から発掘された小話をひとつ。
ちょうどこの頃えっちょんさんのサイトでお祭りやっていて、1枚のしつけたのにもかかわらず更にのしつけられまいかとネタ出ししたとき、たまたまシチュエーションが「トランペットとサックス」「パト車」「砂漠のサンセット」と候補を上げていたらこんな感じに落ち着いた、らしい。
イラストの下書きは無駄にしてあったのでそのうちアップしてみようと思います。しかしつくづく車とルパンたちの組み合わせが好きだ。さっそくパト車模型をひっくり返してデジカメでがんがん撮影している自分。
そしてこの頃大野雄二トリオのCDをがっつり手に入れ、自分の周りでジャズフィーバーが加速していた時期だったからなんか無性に楽器が描きたかったらしい。サックスの音はエロスです。ジャズは本当にエロい音楽だと思う。ジャズについて語るのはイラスト上げたときに妙な方向に濃く語りたいな。
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ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか。
オブサワ、実に、実にン年ぶりに3日以上の完全な休日をゲットして楽しんでおりました。もうない。もう絶対こんなチャンスねぇと思うくらい、なんだか仕事する日々です。これだから野良は!
それでも一般的なGWを一般的に楽しんだので良しとします。安曇野でわさびソフトも食ったサ!ちゃんとわさびの味がするので大変お気に入りのスイーツ。関東からきた友人たちとツレも楽しんでいたようで何より。
次は都内にジャズライブにでも行ってみたいと野望ふくらむ春の夜。
「当たりめーだァ。このポンコツパト車はただ今絶賛エンスト中でエアコンは愚かエンジンすらかからねえってんだ」
「で、とっつあん?さっきから必死にエンジンと格闘しているけど守備はいかほど?」
「馬鹿、こっちは専業警官だ、車のエンジンのことなんか分かるわけないだろうが!」
「わわっ、駄目よただでさえバテバテのエンジンをスパナでぶん殴っちゃ!え、ちょっと、このネジどこから落ちたのしかも2つも!」
「うるせえ!日本のテレビはこうやって直すのが流儀なんだよ!」
「それっていつの時代よ」
「知るか!…おいルパン、そろそろ無線でもGPSでも、とにかく何でもいいから次元たちに救援を求めるとかしろ。なんかあるだろ隠し持ってるやつがよ!俺ァこんな砂漠のど真ん中でお前と日干しになって心中なんざ死んでもごめんだからな!」
「あるわけないでショ!アンタ、俺の服全部ひん剥いて隠し武器から、針金から、カワイコチャンの名前、住所、バストサイズチョメチョメの具合等々を明記したマル秘手帳までぜーんぶ没収したじゃない。おおいやだいやだ俺のプライバシー大侵害。セクハラで訴えてやるーって感じだっての」
「なーにがセクハラだ馬鹿モンが。お前のマル秘手帳のほうがよっぽどわいせつ罪だ。…しかしまいったな、携帯は当然通じないし、通信機みてぇな物を用意している時間もなかったからなあ。丸腰同様だ」
「まったく、とっつあんの無謀さには度肝を抜かれるよ。こんな偏狭の、しかもナチス真っ青な恐怖政治を軍が平然と行っているような国にわざわざ日本からパトカーまで持ち込んでまで俺を追い回してサ。国際問題どころの話じゃねえっての」
「うるせえ。そもそもお前がこんなろくでもねぇ国でろくでもねぇ盗みを働くからこんなことになっただろうが。ちったあ盗む場所を考えろ!この国じゃあお前、発見次第射殺指令が出てるんだぞ。逮捕しにきた俺までもが追われる羽目になったんだ、畜生、腹減った!」
「だからエンジンぶん殴るなっての。こういう時にはさ、もーキャンプに来たとでも考えて面白おかしくすごした方が心安らかじゃない?」
「目の前は見渡す限りの砂漠。道もなければ当然通る人も車もトカゲ一匹すらいねぇ、しかも食料も水もたいして持っていないのに外気は絶望的に暑いと来た。こんな状況で面白おかしくすごせるほど、俺はお気楽じゃねーぞ」
「ま、なんとかなるっしょ。はー空が高いねえ、見ろよとっつあん、でっけぇ鳥が飛んでるぜ。あいつで巨大フライドチキンとか作ってみてーなぁ。何人前取れると思う?」
「俺はお前のそのお気楽すぎる頭ん中かち割って中身を醤油で煮込んでみたいぜ。…戯言はいいから、ちったぁお前も考えるとかしろ!」
「へいへーい分かりましたよ警部殿。まーったくお堅いんだから…あっ」
「どうした」
「そうだよそうそう、ねえとっつあん、ちょーっとアレ、借りますよっと」
「なんだ、アレって…あっ!コラ!お前何するつもりだ!」
「いいからいいから」
「そりゃあ、お前がこの国の大統領宅からかっぱらったお宝じゃねえか」
「このお宝ちゃんはね、実はとーってもおしゃべりな子なんですよー」
「おしゃべりってお前、これは楽器じゃねえか」
「そう。トランペットとサックス。楽器の音はものスゲェ遠くまで聞こえるからね。ここから思いっきりぶっ放してやれば誰か気付くかなーなんて。はい、とっつあんはこっちのペットね。俺サックス。渋いんだぜーこのサックスの音色はさあ」
「しかしよぉ、なんでまたこんなけったいなモン盗んだりしたんだ。つくづくお前の考えることはわけワカンネエな」
「ちえーっ長い付き合いだってのにつれないよなぁ。この楽器はな、1900年代初頭に最高の職人によって作られた世界に唯一存在するものすごいレアなものなんだよね。なんつーか、バイオリンのストラディヴァリみたいな感じ、な」
「お前に楽器の趣味があったとは驚きだな」
「んふふふ今時楽器くらい吹けなきゃ女にもてないでショ。ところでとっつあん、トランペットの吹き方分かる?」
「ああ?こんなん、ただ力いっぱい息吹き込めば鳴るんじゃねぇのか…イチ、ニの」
「ギャッ!!うわすげえ音!耳、耳に来たァ!もう、せっかくのレア楽器なんだからもっと色気あるように吹けないものかねえ」
「馬鹿いえ、ここはコンサート会場じゃねえ!今俺たちに必要なのは救援だ!あの地の果てまでこの音を届かせてやらなきゃなんだろうが!」
「そりゃあそうだけどさあ、いい感じに太陽も傾いて雰囲気ムンムンな情景なんだし、ここで優雅に世界最高楽器の音色を嗜むっていうのも、なかなかオツだと思わないかい?例えばこんな感じで、サ」
「なーにを寝ぼけたこと…ん、この曲は」
「キャノンボール・アダレイの代表作、「Cannonball's Bossa Nova」。あれ、とっつあんもしかしてジャズには明るいのかい」
「昔、ジャズ喫茶がはやった頃に友人に誘われてちょっと…な。あの独特な空間に若ぇ頃はよく通ったものだ」
「へえ、意外意外。しっかし若いころとはいえとっつあんがジャズとはねェ…ブッ…あっはっはっ!似合わないのにも程があるっての!」
「うるっせえ!この!」
「ギャッ!!だからその衝撃波みたいな音を耳元でやるなっての!鼓膜が蝶チョみたいに吹っ飛んでッちまう」
「自業自得だ、馬鹿者」
「あーあ、人がいい気分で吹いていたのに台無しだぜ」
「…で、次は?」
「へ?」
「次の曲だよ。他にも吹けるんだろ。何でもいいから、景気のいい奴をやれ」
「どうしたの急に。そりゃあ吹けっていうなら吹くけどさあ」
「何か疲れた。一日くらいの立ち往生でも死にはせんだろう。この不愉快な状況を少しでも緩和するために有効な手段だと思ったからだ。吹け」
「あーらら。…ま、いいか。俺様ソロステージにとっつあんが観客なんて状況、滅多にないもんね。さあさあお客様、リクエストがありましたらお申し付けくださーい。情緒豊かな音色を、このすばらしい景色と共にお楽しみくださーい。なーんちゃって」
「そうだな。昔三軒茶屋のバーでよく流れていたデューク・エリントンあたりの曲なんか、俺の好みだったな」
「OK。では彼の名曲の中から、『A列車で行こう』を」
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なんかネタ帳から発掘された小話をひとつ。
ちょうどこの頃えっちょんさんのサイトでお祭りやっていて、1枚のしつけたのにもかかわらず更にのしつけられまいかとネタ出ししたとき、たまたまシチュエーションが「トランペットとサックス」「パト車」「砂漠のサンセット」と候補を上げていたらこんな感じに落ち着いた、らしい。
イラストの下書きは無駄にしてあったのでそのうちアップしてみようと思います。しかしつくづく車とルパンたちの組み合わせが好きだ。さっそくパト車模型をひっくり返してデジカメでがんがん撮影している自分。
そしてこの頃大野雄二トリオのCDをがっつり手に入れ、自分の周りでジャズフィーバーが加速していた時期だったからなんか無性に楽器が描きたかったらしい。サックスの音はエロスです。ジャズは本当にエロい音楽だと思う。ジャズについて語るのはイラスト上げたときに妙な方向に濃く語りたいな。
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ゴールデンウイークはいかがお過ごしでしたか。
オブサワ、実に、実にン年ぶりに3日以上の完全な休日をゲットして楽しんでおりました。もうない。もう絶対こんなチャンスねぇと思うくらい、なんだか仕事する日々です。これだから野良は!
それでも一般的なGWを一般的に楽しんだので良しとします。安曇野でわさびソフトも食ったサ!ちゃんとわさびの味がするので大変お気に入りのスイーツ。関東からきた友人たちとツレも楽しんでいたようで何より。
次は都内にジャズライブにでも行ってみたいと野望ふくらむ春の夜。
2007/05/08(Tue) 00:39:31 | ルパン三世系
あふれ出るパッションの果てに
最近はイラストを描くために謎の小話を妄想する癖がついてしまいまして。うかつにもお祭りに間に合わずお蔵入りしかけていたものでございました。ご覧いただけてうれしいですv最近のマイフェイバリットがジャズという感じで一人やたら盛り上がっていたのでついでだからと不可思議なシチュエーションを考えてしまいました。ジャズはエロスです。とっつあんに軍隊ラッパ!似合いすぎてたまりません。やけくそになって二人で好き勝手にブガブガと吹き鳴らしていそうです。 こんなところでなんですが、サイト4周年&銭形親衛隊2周年おめでとうございます!サイトのフラッシュにずいぶんと萌えさせていただきましたですよー!