夏の陣戦利品盗難未遂攻防戦

夏コミに行ってまいりました。
自分が参加したのは1日目のみでしたが、シャレにならない暑さと人ごみで体重2キロ分くらい汗を流し、欲しかった新刊を解き放された獣のように買いあさり、脚をがくがくさせながら放課後の下駄箱で待ち伏せて告白する高校生のごとく「ふ、ファンですッ」とサークルさんに精一杯の愛を伝えて挙動不審ぷりをアピールしたりと大変充実した日々でした。
この辺の話題は後日表サイトのげる学のほうにアップしたい思っております。
で、こちらにアップしたい話題は、タイトル通り実にシャレにならない話題。
自分自身わりと衝撃を受けているのですが、今後電車を使って帰省等される方へ注意を促す意味でもアップを敢行したいと思う次第。


今日、地元へ帰ってきたわけですが。
夏の戦いの末、絞りカスも出ないくらい全力で疲労してしまったので帰路に着いた特急の中でがーがー眠っていたわけです。
そして止まったとある駅、私の隣に人が座った気配に目を開けました。
隣に座ったのは10歳〜12歳くらいに見える子ども。男の子です。
ああ、帰省で特急乗ったはいいものの自由席ゆえ親御さんと並んで座れなかったのね、とくらいしかそのときは思ってなくて。
さて再び寝ようかとしたところ、乗務員が切符の確認にやってきました。
当然子どもにも切符の提示を促します。が、
彼は薄ら笑いを浮かべるだけで乗務員の質問に一切答えようとしない。
親御さんはどこかと言う問いにもニヤニヤ、どこまで乗るのかと言う問いにもニヤニヤ。
困り果てた乗務員はいったん職務のためにこの場を去りました。
無賃乗車ゆえ、しかし相手が子どもと言うこともあり対策を講じるようでした。
何だコイツぁおかしなモンだといぶかしげに感じ、念のため私は眠ることを止めしばらく様子を伺うことに。
しばらくは奴はその場に座っていたのですが、徐々にその行動がおかしくなってきます。
視線。
足元に視線を感じる。
私は手元に貴重品の入ったバッグを、足元には夏の戦場で辛くもゲットしてきたお宝本が入ったバッグを置いておりました。
少年の視線は、明らかに足元のバッグに注がれている。
気のせいかと思ったのですが、そのうち彼はしきりに私の顔をうかがいだしました。
始めは横をちらちらと。
私は帽子を深くかぶっていたので表情が見えなかったのかもしれません。
しまいには身を乗り出して私の顔の真下から覗き込む始末。
これにはびびった。どうも奴、私が寝ているかどうかを確認していたみたいです。
あ、やばい、コレはやばい、と直感するものがあって、足元のバッグの肩下げ部分に両足を突っ込んで簡単に持ち上げられないように操作。
果たして予感は当たり、奴はバッグに向って手を伸ばしました。
とっさに威嚇として床をダンと強く踏み鳴らし、奴の行動を阻止します。
私が寝ていないことに気がつき少々ひるんだ奴は、しかし再び私の隙を狙って顔を覗き込む。
足元のバッグには日干し寸前になりながらもゲットした宝の山が入っている。
こんなどこの馬の骨とも知らぬクソガキに盗られてたまるかという怒りがふつふつと湧き起こってきました。
子どもとはいえ相手は背丈も私とたいして変わらないような恰幅のいい男、万一武器をもっていたらと思うという恐怖は確かにありました、しかし当時の自分は萌えと怒りのほうが強かった。
ありったけの怒りを眉間に寄せ、持ち前の吊り目を存分に活かして般若顔をつくり、まるでバッグの中に親の敵がいるかのような表情でバッグ一点だけを睨みつける。それはもう今なら背後に東方不敗のスタンドが発動できる位に。(※図参考)

お宝死守攻防戦


その荷物に手を出したら殺すという意気込みでとにかくバッグから視線を一ミリたりともはなさない。
そして決して奴自身に視線を合わせず、バッグだけを睨んで床を荒々しく踏み鳴らすという手段に出ました。
なんというか、リス猿の檻に入ったことのある方は分かるかもしれないのですが、目を合わせたら襲ってきそうな、そんな気配を漂わす相手だったのです。
かくして私の般若視線と床鳴らしの結果、奴は私の荷物をあきらめたようでした。
やばい早く乗務員戻ってこないかなと思いつつ、しかし窓際に座っていた私は奴に行く手を阻まれ動くことも出来ず般若のままバッグを睨んでいたのですが、奴は今度は向かい側の席の人たちにターゲットを絞ったようでした。
いきなり身を躍らせまったくの赤の他人のペットボトルを奪い取って喉を潤し、さらにはその隣に座っていた女の子のバッグから覗いていたお菓子を奪おうと執拗に手を突っ込むという行動に。
女の子は悲鳴を上げてその恐怖から泣き出してしまう。
そこで私は手前に座っていた男性に乗務員を呼ぶように依頼し、女の子を別の車両へ行くように促しました。
子どもは相変わらず自分のしてでかしたことなどさも普通のようなそぶりでへらへらしている。
しばらくは椅子に座って脚をぶらぶらさせているだけだったのですが、突然奴は立ち上がり、女の子が逃げて言ったほうへ走り出していってしまったのです。
やはりリス猿同様相手にしてしまったために喜び勇んでの追いかけ方でした。そのときのぞっとするような笑みが脳裏からはなれません。
止める暇もなかった。これはものすごく私の落ち度でした。
遠くで聞こえる女の子のものすごい悲鳴。
乗務員はまだ来ない。
やばい、これはシャレにならない。
電車はまだ止まる駅まで到達しない。
荷物から離れることは正直躊躇しました。
あの子どもが執拗に狙っていたのですから万一もどってきたら確実にパクられると思った。
しかし女の子の悲鳴を聞いてしまった今となってはとにかく乗務員を呼ぶしかない。
席を立ち走り、男性に率いられこちらに向っていた乗務員たちに事情を説明。なんか対策を講じてから行くとか悠著な事をいっている連中にとにかくやばいから早く何とかしろ女の子泣きながら追いかけられてんのよ、とうっかり怒鳴って注目を大いに買う(恥)
走る乗務員2名、走る私と呼びに行った男性。
子どもはまだ戻ってこない。
女の子の姿もない。
とりあえず席に着かされる我々。
走り去る乗務員たち。
静寂。
車両が変わったところで子どもの大捕物があったようですが、そのときの情景は不明です。
時計を見たら、奴が私の荷物に手を出してから実に1時間はたっぷりとたっておりました。
それでもまだ気が抜けない。
子どもの身柄は確保されたのだろうか。
女の子は大丈夫だろうか。
静寂、ただひたすら静寂。
停車駅が、近い。
しばらくして乗務員の一人が戻ってきました。
そして私に子どもがどこから乗ったか等を聞いてきました。
これははっきりと把握している事柄なので問いに答える事ができました。
聞くと、子どもは所持金は愚か何一つもっておらず、しかも乗務員の問いには一切答えず黙秘をひたすら決め込んでいるとか。
そして変わらずニヤニヤと。
これは危険だということで奴は次の駅で強制的に引き摺り下ろし、警察へ突き出すことになりました。
その間奴の身柄は乗務員ががっしと確保。
果たして、停車駅に到着しました。
降りる乗客が済んでから、乗務員にとらわれの宇宙人よろしく両脇を固められた子どもが連れ出されます。
そして待機していた警察に引き渡されたところを車内から確認。
プルルと発車を知らせるベルが鳴る。
とたんに今まで黙ったまま下を向いていた子どもが警察の手を振り切ろうと大暴れ。
しかし警察の皆様にあっさり御用。
囲まれるようにして連れて行かれる子ども。
閉まるドア。
電車はすべるようにプラットホームを後にしました。
しばらく固まっていた自分でしたが、突然のしかかってくるものすごい疲労。
そういえばずっとずっと般若顔のままでいたっけなあと鏡を見てみると眉間にくっきりと化粧のはがれた縦線が鎮座(泣)
うわこんなみっともない状態でうろうろしていたのか私と大慌てで化粧を直したところでようやく一息ついたのでした。
今思うと、あの子どもが足元のバッグを執拗に狙っていたのは、バッグの端に水のペットボトルが覗いていたからかもしれません。
奴が乗り込む前に水を飲んだりしていたのですが、うっかり机に出しっぱなしにしておかなくて良かったと胸をなでおろしたのでした。
貴重品なども手元に握り締めておいて本当に良かった、と。
長距離電車に乗ると、どうしてもそれだけで疲れ果ててうとうとしがちなのですが、今回の事例は特殊だとしても、やはり電車だからこそ荷物の管理はしっかりしたほうがいいと思う次第。
横においてあるから安心、と言うことはないなと身をもって知らされました。
財布などの入ったバッグは置いておくのではなく手提げ部分に腕を通すなりして簡単にもっていけないような工夫を、足元の荷物は常に管理下に置くようにする、当たり前だけどなかなかおろそかになっている事柄かもしれません。
現に奴は私が眠っていたからこそターゲットとして横に座ってきたのです。そこには確実な意志があり、確信犯だと思われます。
あまりにも手馴れた感じで、過去にも同じ事をやっているのではと背筋が寒くなります。
相手が子どもといえ油断が出来ないなんて、本当に世も末だなと。
しかし現に起こってしまった今、防犯意識を高める必要があると感じました。
しかし、電車と言う密室で何かあった場合、助けを求めるにはどうしたら言いのだろうと考えさせられました。
正直周りは当てにはならぬ。
アレだけの騒ぎで手を貸してくれた人はほぼ皆無でした。
だからこそ自衛を。
隙を見せないこと、可能ならその場を脱して自ら乗務員に助けを求めること。
いっそ大声で叫んでもいいかもしれない。
でもとっさに自分自身、己が身を守ることしか出来なかった。
コレが限界でした。
いまだにもっといい方法がなかったのか、ともんもんと反芻するばかりです。女の子の心が癒えてくれることを祈るばかりです。
いきなりバッグに手を突っ込まれたら怖かろうよ本当。
そして、願わくば事件等を呼び寄せてしまうこの因果な体質を何とかしたいです神様。
おおおおおう。

2007/08/18(Sat) 01:02:47 | 叫び

ありがとうございます

お久しぶりですDETAさん。労りのお言葉ありがたいです。あの日の経験は思いかけず自分の中に深く残ってしまったらしく、現在電車内で睡眠をとることが本能的に出来なくなさてしまいました。出張等で朝から長距離移動することが多いので眠れないのは結構な苦痛ですああん。人型をした人以外の生物、まさしくそんな形の相手でした。子どもだから判断がつかない、子どもの悪ふざけとかそういうレベルではなく、これはやばかろうと全身で察知するような形だったので、さぞかし当時の自分は般若顔でいたんだろうなと思います。下手に説得や声をかける等の接触をしなくて良かったと感じております。 DETAさんも恐るべき体験をされたそうで…その恐怖は想像に難くなくただただご無事を喜ぶばかりです。こういう非常事態になったとき、どのように行動すればベストなのかいまだに答えが出ておらず悶々としております。電車って大きな密室ですからね、逃げ場ないというのはなかなかな恐怖。しかし今思えば、あのときのアイツに肘打ちの一つでも食らわせておかねば気がすまねェとか物騒なことを考えるあたり、なんだか結構余裕だったのかもしれません(笑) コメントありがとうございました!
オブサワ@管理人(2007/12/07(Fri) 01:04:49)

すさまじい体験でしたね…

こんばんは。ご無沙汰しております。壮絶な体験でしたね…同じ人型はしてはおるものの、意思疎通がまるでできない別の生物の様な印象さえ受けます。日記を拝見していて、こちらもぞっとしました。被害や、お怪我などなされず、本当に良かったです。私も以前鈍行1本で友人と九州まで旅行に行った折、同じ様な目に遭いました。その時の事を思い出しました…あの時は私1人起きてポケモンをやっていたので即座に異変に気付き、相手と睨み合いをしたものです。今思えば大分怖い事だったんですね…;
DETA(2007/12/07(Fri) 01:04:17)
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