へちま妄想文ですよ。
もうすっかり我々界隈で、赤い人すなわちへちま状態になる程度になんかがおかしい今日この頃です。一体自分はどこへいこうというのか。
●へちま文1:緑ジャケット着なくなった訳
警部は自分の滞在先である安アパートでいつものように寝ておりました。
朝方になって、ふと目が覚めたら横に見慣れた横顔。
全力で爆眠しながら警戒心のけの字もない、まさアホの子全開で寝とるルパンさん。
たまに勝手にアパートの屋根裏から侵入して勝手に布団に潜り込んでくるわけですが、警部も慣れたもので暑いから離れんかいと布団からぺっと蹴りだしたりする訳です。
そのまま転がってもまだ爆眠してる残念な子。侵入してきてそのまま布団に直行したらしく、いつもの緑のジャケットにスラックス、ついでに靴すら脱いでないという有様です。
まあ侵入者はそのままほっといて、仕方ないので朝ご飯二人分作りにキッチンに向かう警部。
今日の朝飯は、まあなんかもう一人余計なのいるし、シャケの切り身でも焼くかーみたいな。多分戸棚にルパン専用の茶碗とか勝手に装備されていると思う訳です。そこは抜からない。箸は持参。
みそ汁ができる頃、やっと目が覚めたのか隣の部屋にほっぽっといたルパンさんもぼけーっとしながら起き上がりました。
じゃあ朝飯にすっかと、二人分の朝食をお盆に載っけて部屋に入った警部、ふとルパンさんの後ろ姿をみて何かを思い出しました。
床で転がって寝てたせいか、ルパンさん頭のてっぺんに豪快に1束の寝癖が立ってました。それはまさに妖怪アンテナのごとく。
これ、何かに似てるよなーぁって警部しばし考える。
アンテナ、そして「しゃくれたモンキー面」のお顔のライン、さらに緑色のジャケット。
あ、へちまだ。
思わず口からポンと飛び出したへちま発言。
小学校とかで育ててよくぶら下がっている、あのへちまになんだかよく似ている今のルパンさん。
そんなでっかいへちまと化したルパンさん、振り返ってにへーって笑いながらおはよーとっつぁんとか言うんだけど、後ろで腹筋崩壊している警部をみて何事ぞと首をひねる。
またその拍子に頭のアンテナがもう一本絶妙のタイミングでピョコンと立ち上がっちゃったから、もう警部笑いが止まりません。
へちまへちま言われ、なんか面白くないルパンさん。だってせっかく会いに来るためにオシャレしてきたのに!お気に入りの緑のジャケットなのに!
しかし、そのジャケットへちま色なのな、でっけぇへちまだなお前ェと頭のアンテナ引っ張りながらゲラゲラ笑われちゃって、そりゃもうルパン一族のプライドもガタガタです。
キーッてなったかわいそうな子、アンテナ触る警部の手を振り払っちゃう。超涙目。もう完全にすねちゃって朝ご飯自分の分だけもって部屋の隅っこでブリブリ怒りながらがっついてる。
なんだよへちまへちまって!へちまじゃないもんルパンだもんチクショーってなってる。そんなすねた後ろ姿を楽しそうに眺めている警部。
そしてへちまは決めた。俺っちのことへちまって呼んで悪かったって言うまでとっつぁんとなんか口聞いてやんねーもん!とキッチリ食べ終わった朝ご飯のお皿と茶碗を律儀に台所のシンクに戻して、そのまま布団のある部屋に篭城。
あーあってなった警部。ちょっとやりすぎたかなーってなった。長い付き合いだから分かる、一度へそ曲げたらしばらく戻ってこないこの頑固さ。参ったなーと頭をかく警部。
そうはいっても自分は今日は警視庁で溜まりにたまった報告書の消化に出勤だし、そのまま拗ねてる子ほったらかしてアパートを出て行きました。
一人残されたルパンさん、なんだよへちまって…かっこうよく決めてきたのにへちま扱いされて、なんかすごく悲しい気分です。
そして悲しい事にこのアンテナがどんなに髪をといてもなおらない!本当に頭から生えてるへたなんじゃないかってくらいに堂々と立ち上がってる。悔しい!
そんな感じで枕をクッションにして座る事石の如し、気がつけばすっかり日も暮れ、辺りが暗くなってきました。
もう帰ろうかな、とか思っていながらなんだか踏ん切りがつかないかわいそうな子。お腹だってすいたし、警部帰ってこないし、もしかしたら同僚と飲みに行っちゃってるかもしれないし…とどんどん切なくなってくる。
口聞いてやんねーだなんて言わなければよかった。へちまっていわれてなんだか恥ずかしいし悔しいって思ったけど、楽しそうに自分の頭に触れてくる警部の手の温かさが忘れられなくてなんかすごく寂しくなってきた。
枕の上で体丸めてくすんくすんしだしたへちま(28)。真っ暗な部屋の中、窓からわずかに入ってくる月明かりにのびる人影は固まったようにいつまでも動きませんでした。
一方の警部。エベレストみたいになってた書類とひたすらVSしていた訳ですが、気がついたらもう夜。結構な時間です。
さすがにそろそろ戻ろうと思い、同僚の飲みにいくお誘いも断って足早に警視庁を出ました。
途中でコンビニにより、いつものように発泡酒を手に取り、…ちょっと考えて再び戻し、その横にあったビールのちょっといい奴を1缶とおつまみチーズ、ホットスナックの唐揚げなどを購入。
コンビニ袋片手にいつもの帰り道を急ぎます。
時刻は深夜一歩手前。人ごみにごった返すホームを突っ切り、人気の消えた住宅街の細道を足早に進む警部。
アパートの前につくと、二階の角の自分の部屋の電気がついてない事に気がつきました。
一つため息をつき、アパートの古い階段を上っていきます。
階段を上る、聞き慣れた足音にがばっと身を起こしたルパンさん。
帰ってきたー!!の喜びもつかの間、なんかほっとしたとたんに朝のへちま発言に対する怒りが再びよみがえってきました。
やっぱりへちまって言ったの取り消すまで絶対に口聞いてやんねーもん!!とブリブリ再開です。
ドアが開き、電気がつけられました。
枕の上にしゃがみ込んで一向にこっちを見ようとしないルパンさんに、ああやっぱりかーと自分の予想の正しさに再びため息をつきます。
しゃーねーなーとそばに近づき、なんだか涙目のままふくれてるへちまのあたまを、大きな手でぐしぐし撫でてやりました。
あったかい体温を感じ、思わず泣きながら警部に抱きつきそうになったルパンさんでしたが、しかしここで負けてなるものかーっと顔真っ赤にして耐えます。
へちまだって水あげなきゃ育てねーもんな。そういいながら警部は買って来たビールを2つのグラスに注ぎ入れ、ぷるぷるしているルパンさんの前に差し出しました。
つまみもあるぞ。どうせ何も食ってねーだろ。
そこで陥落。頭わっしわしなでられてすっかりにへら顔になってしまった残念なへちま、グラス受け取って幸せそうにビール飲みだします。
とたんに盛大にお腹が鳴りました。やれやれと警部、立ち上がってキッチンに向かいます。雑炊ぐらいなら作れるぞーと言われ、唐揚げを勝手にぱくつきながらたべるーたべるー!卵落としてねとねだるルパンさん。
夜も更けて、布団に横になった警部はぼんやりと考えてました。
横には当然のごとく勝手に布団に入ってきて、警部にしがみつくようにして爆眠しているルパンさんがいました。相変わらず警戒心0のアホ面です。
そんな平和な寝顔を眺めながら、このままただのへちまであってくれればいいのにと思いました。
自分の前では、本当にヘタレで危険などどこにもないように見えるのに、その本性はどこまでも冥いヒトゴロシの血が流れている。
そうでなければ生きて来れなかった過酷な環境故に本能のように根付いてしまっているその危険さを、警部は痛いほどしっていました。
頭をなでてやります。その度にへちまは幸せそうににへーと笑います。
自分が横にいてやれば、こいつはこのまま牙も爪も出さない無害な生き物になってくれるかもしれない。
そんな事はきっと無理だと分かっていながらも、それでも今日のような時間がこのまま続けばいいと、密やかに願わずにはいられない警部でした。
で、朝になって起きてみたらルパンさんのアンテナが3本に増強されてて、今度こそ完全に腹筋崩壊になっちゃって悶絶している警部をみてルパンさんは決心しました。
予告状が届き、現場に出向いた警部がみたのは、真っ赤なジャケットに身を固めたルパンさんのお姿。
もーーーこれでへちまとよばせないかんなー!!とフンフン鼻息も荒く宣言する赤い人(28)。あんなにお気に入りだった緑のジャケットが、アジトのクローゼットから日の目を見る事はそれ以降ありませんでした。
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まだへちまについては無駄に色々語りたい事があるので、そのうち隙見て垂れ流したい予定です。
夢ひろがりんぐ状態で困るが実に幸せである。残念だけど幸せだ!